愛しの黒ライオン


「牡丹、白い薔薇を取ってくれるか?」


水上げされたバケツの中に入っている白い薔薇を束で取り渡すと花のアレジメントを作る獅子さん。


30分前ずっと獅子さんに買い物袋のように持たれていた私は一生分の恥を味わったきがする。


ダレもが私を見つめていた。どうせなら違う意味で注目の的になりたかった。


「牡丹...」
「ん、あ、はい?」


「さっき虎と話してただろ、何話してたんだ?」


あ、えっと...何を話していたってどう答えたらいんだろう?


昔の獅子さんは、独占欲の塊だったとか...


好きな女と別れてから女に対してシビアになったとか...



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