愛しの黒ライオン
ガクガクする足の振るえを押さえ沙耶さんの上にいる人に言い放った。
すると沙耶さんの上に乗っている人は、ゆっくり私の方に振り向いた。
ダレ?
目が虚ろになっていて見た目も危なそうな男の人?
「沙耶さんから離れて」
「な、何をしてるの、ここから離れなさい、あなたも怪我をしたいの?」
沙耶さんは、上向きのまま両手で顔辺りをかばい、私の方を見つめた。
「今は、私しかいないんです。ダレが助けに来るんですか?ダレを待てば助かるんですか?黙ってください今助けます!」