愛しの黒ライオン
『黙れ、服着てるから良いだろ、寒いから入るぞ』
獅子さんも、そう言うと服を着たまま湯ぶねに入ってきて私を背中越しから抱き締める。
首に伝わる優しい吐息と、お互いの心臓の音が交わって、やるせない気持ちに。
「牡丹...」
「ん...?」
「悪かったな巻き込んで」
「...巻き込まれたなんて思って無いよ...それに...それにね」
「ん?」
獅子さんは、お腹に回した手をきゅっとする。