愛しの黒ライオン



「離して」


足をくっと突っ張り止めようとするのだけど男の人の力には到底適わない。


このままじゃ私・・・


掴まれている手を必死に離そうと試みるもののずずっとカラダは自分の意思とは別に持っていかれる。


イヤ、離して――


「おい嫌がってるだろ...」


低く深い声色が響いた。まるで背筋がゾクゾクするほどの声。


抵抗しつつも声の聞こえて来る方へ顔を逸らすと目に飛び込んできた姿は『漆黒の獣』


黒曜石のような深い瞳、同じ世界に住んでいる人には見えない……


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