結婚白書Ⅱ 【恋する理由】
未来が見えた日
”お袋が 円華に会ってみたいって”
要の言葉が心に重くのしかかる
私に会ったら
私を見たら
彼のお母さん なんて思うだろう
こんな年上の彼女と付き合っていたのかと思うに違いない
要も30歳になったばかり
なにも 8歳も年上の女と付き合わなくてもいいのにと思うわよね
要もどうしてお母さんに話をしたの?
本当に私と結婚するつもり?
まさかね・・・
これまで一度も 要の口から「結婚」の言葉を聞いたことはないのに
今のままで このままの付き合いでいいよ
お母さんに会って 付き合うのさえ反対されたら 私 どうしたらいいの・・・
いつもなら楽しい気分で帰宅するのに 今日はダメ
底の底まで落ち込んで 当分這い上がれそうにない
そんな娘の態度が気になったのか 母が話しかけてきた
「円華 今日は沈んでるじゃないの 魚 釣れなかったの?」
母には 会社の同僚達と釣りに行ってるのだと告げている
同僚達じゃなくて 同僚だけど
「うん」
いま お母さんと話をする気分じゃない
適当に受け流して部屋に行こうとしたら
「彼と別れ話でもしてきたの?
そろそろ話してちょうだいね いつアナタが話してくれるか
お母さん待ってるのよ」
お母さん 知ってたの?
母の確信をついた言葉に 驚きを隠せず狼狽してしまう