結婚白書Ⅱ 【恋する理由】
今日 初めて要の家に行く
緊張しなくてもいいんだ
自分にそう言い聞かせるが 落ち着かない
お会いするの お母さんだけじゃないわよね
お父さんもいらっしゃるはず もしかしてお姉さん夫婦も?
あぁ ますます緊張してきた
「円華 特別なことをしなくていいのよ いつものアナタでいいの
私がしっかり育てたんだから自信を持ちなさい!」
母の この自信に溢れた態度はどこから来るのか
いつもながら感心する
ふと 父が不機嫌なのが気になった
出かけに母に聞くと
「気にしなくていいわよ お父さん 順序が違うって不機嫌なだけ」
「順序って?」
「男の方から先に挨拶に来るべきだって 昨日から機嫌が悪いのよ」
昨夜 父にも話をした
黙って聞いていたから すべてわかってくれていると思ったのに・・・
「娘を持った父親の永遠のテーマね
どんなに誠意をつくしても 自分の娘をさらっていく男は
気に入らないんですって
これも試練よ あとはお母さんがなんとかするから いってらっしゃい」
母は あっけらかんと言い放った