本能で恋を




「あっごめんなさいね。どうした?」


先生は直ぐ笑顔になって私を見上げた。

何だかそれが痛々しかったが、黒いファイルを先生に渡す。



ファイルを渡す時にチラッと机を見れば、写真が一枚置かれていた……


男の人の写真……
隣に写っているのは、今より少し若い先生だ。






あまりこういうのは検索しない方が良い。
聞いて面倒臭いだけだ。


でも何故か、痛々しい笑顔が苦しくて、
私も最近モヤモヤしていて、判断力が薄れていたのか…




「どうしたんですか?」

と、次の瞬間には聞いていた。





先生は、私が聞くとは思ってなかったのか、びっくりした顔をしたが、次の瞬間クシャッと顔を歪めて、「…聞いてくれるかな?」と弱い声で言った。



私は先生に頷いて、近くの椅子に腰を下ろした。






 

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