本能で恋を




駅まで着く時には私も我慢の限界だった。


葉月君と繋がった手をブンッと降った。
しかし、恋人つなぎをされた手は、そう簡単に外れず、繋がったまま。

私が手を離そうとした事に気付いた葉月君は、立ち止まって、不機嫌な顔のまま私を見る。




「何か気に食わないなら言えば?私は覚えも無いのに不機嫌になられて……

でも…どうしたら良いかなんてわからないし。それでも葉月君と居たいって気持ちがあって離れたくないし。
どうしたらいい?」


思ってる事をそのまま言う。



すると葉月君は、
「……名前呼んで」
と、いつもより弱々しい声で言った。


名前とは……この場合葉月君のだよな?


そう思って「葉月君」と呼べば、

「葉月」
と返される。



………?



 
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