本能で恋を



「何…」

私が『意味が分からない』と、不機嫌な顔になれば、


「葉月って、呼び捨てで呼べよ」


と、命令口調なのに折れそうなくらい弱々しく言った。



何だか、このまま葉月君が倒れてしまうんじゃないかと怖くて、


ギュッと葉月君の胸に抱きつきながら
「葉月…好き…」

と言う。



すると、葉月君はゆっくりと腕を私の背中に回して、



「うん…俺も好き…好きすぎて駄目」


と呟いた。





何が駄目なのか聞こうとすれば、


「愛歌、今日俺ん家来て。ゆっくり話しよう」

と、提案される。




時間もまだ遅くないし、家族公認の中なので、迷わず頷いた。


普段、お互い口数が少ないけど、久々にゆっくり話すのも良いかもしれない。




 
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