本能で恋を
「…あれ?赤い…」
「……とぼけてんの?」
率直な言葉を言った私に、セナは疑いの目を向けてきた。
「何が言いたい?」
「それ、葉月君に付けられたんでしょ?」
「葉月」の言葉に昨日を思い出す。
確かに昨日葉月がここに口を付けていた……
無言の私を肯定と思ったセナは、
「キスマークはね、独占欲の印なの!『コイツは俺の』みたいな!」
独占欲………
そう言えば『マーキング』って言っていた…
つまり葉月は、私を自分の物だと印付けた事なのだ。
途端に深いため息が出る。
それは、彼の独占欲が嫌なのでは無い………
『こんな事しなくても、私は葉月から離れないのに』という気持ちからだった………
でもまあ、それで彼が安心するなら……なんて考えてしまう私は、
彼に出会う当初にくらべ、
とても彼に甘く…彼が好きで…
感情が柔軟された証拠であろう。
きっと、近い将来結婚する旦那様へ………
心が『あなたを好き』だと叫んでいます。
fin