水面に浮かぶ月
はっきりと、リョウは言い捨てた。
透子の言葉を、表情を、『猿芝居』だと。
「お前、ほんとは何者だ?」
「……え?」
「何の目的があって俺に近付いたのかと聞いてんだよ」
冷たい瞳をさらに濁らせ、リョウは透子を見下した。
「本当のことを言ったらどうだ? 透子」
この街を追われ、リョウは疑心暗鬼になっているだけだろうか。
いや、しかし、それにしては、カマを掛けているような言い方ではない。
まさか、と、透子が思ったことを、リョウは口にする。
「お前のこと、調べさせてもらったぜ。ネットで検索したら、すぐに名前がヒットした」
リョウは透子の首に手を掛ける。
「14年前の、地方新聞の記事だった。お前、親に捨てられて、施設に入ったそうじゃねぇか」
「………」
「そして、それと同じ頃。同じ街で、同い年の、“虐待されてるところを保護された少年”がいた。誰のことだかわかるよなぁ?」
やばい。
やばい、やばい、やばい。
体が小刻みに震える。
その先を言わせるわけにはいかない。
だが、リョウはにやりとし、
「まさか、透子と光希が裏で繋がってるなんて思いもしなかったぜ」
ぐっ、と、透子の首を掴むリョウの手に力が込められる。
苦しい。
息ができない。
透子の言葉を、表情を、『猿芝居』だと。
「お前、ほんとは何者だ?」
「……え?」
「何の目的があって俺に近付いたのかと聞いてんだよ」
冷たい瞳をさらに濁らせ、リョウは透子を見下した。
「本当のことを言ったらどうだ? 透子」
この街を追われ、リョウは疑心暗鬼になっているだけだろうか。
いや、しかし、それにしては、カマを掛けているような言い方ではない。
まさか、と、透子が思ったことを、リョウは口にする。
「お前のこと、調べさせてもらったぜ。ネットで検索したら、すぐに名前がヒットした」
リョウは透子の首に手を掛ける。
「14年前の、地方新聞の記事だった。お前、親に捨てられて、施設に入ったそうじゃねぇか」
「………」
「そして、それと同じ頃。同じ街で、同い年の、“虐待されてるところを保護された少年”がいた。誰のことだかわかるよなぁ?」
やばい。
やばい、やばい、やばい。
体が小刻みに震える。
その先を言わせるわけにはいかない。
だが、リョウはにやりとし、
「まさか、透子と光希が裏で繋がってるなんて思いもしなかったぜ」
ぐっ、と、透子の首を掴むリョウの手に力が込められる。
苦しい。
息ができない。