水面に浮かぶ月
ねぇ、透子。
俺がここを出たら、一緒にあの町に戻ろうって約束したよね。
あの町に戻って、一緒にフラワーショップをやらない?
お金なら、俺の隠し預金が、銀行の貸金庫に残ってるから大丈夫。
確かに離れてるけど、今は勉強する時間だと思えばいい。
花屋になりたい人のための専門学校やスクールもあるらしいから、落ち着いたら、透子も色々と資料を取り寄せてみるといい。
俺も俺なりに、勉強しようと思ってます。
俺たちの人生は、まだまだこれからの方が長い。
だから、そのために、今度は失敗しないように、準備して挑もうよ。
もう誰も不幸にしないために。
ここを出たら、俺は、透子の笑顔のためだけに生きようと思う。
愛してるよ、透子。
透子に出会って救われた、15年前のあの日から、それだけは何も変わらないから。
光希。