君と見てた空





 誰も訪れない、他の住人がいない荒れ果てたアパート。


 私の家のドアを、誰かがノックした。




「道、聞きたいんだけど」




 人の声。



 持っていた塵取りを落として、埃をそこら中にまき散らすほどの出来事だった。



 人なんて嫌いだった。


 世界にはいつだって怯えていた。


 世界中の人に悪口を言われているんじゃないかって思うと、外に出られなくなって行った。




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