守ってあげるよ。

その子は、あたしの前の席を指差しながら言った。
「えっとー、あたし、ここの席なんだ。よろしく!」

へえー、声までかわいいや。
高くてかわいい声…
てか、こんな子が前の席なんて!嬉しい〜!
女のあたしでも目の保養になるわあ!

「あの…大丈夫?」
しまった!完全に無視ってたあ〜!

「あっ!ごめん、あまりにも綺麗だから…!よろしく!」

早口でぎこちなくなってしまった。

「ええ!?綺麗って、あたしのこと!?いや、ないない…」

笑いながらその子は席に着いた。
「よかったあ。あたしもね、喋る子いなくて…。あ、名前、なんていうの?」

「倉見杏奈だよ」

「わかった!杏奈って呼んでいい?」

「うん!そっちは何て名前?」

「わたしは木内咲良!」

「わかった、咲良ちゃん…ね」

「だめだめ!あたしのこともちゃん無しで呼んで!」

「わかった。じゃ、咲良…」
少し照れながら言った。

「はーいっ!」
咲良もニコニコ笑いながらそう言った。ほんとに笑顔が似合う子だ…かわいい!
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