【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
繭は怪訝そうに私を見ながら
ちょっと首をかしげて見せる。
「え、厨房って何。
あんたは普通にホールですけど。
何逃げようとしてんの?ん?」
おー怖い怖い。
「え、いやいや。
他にもホール出たいって子、
いっぱい居るでしょ?
私、厨房でいいし。つか厨房がいい!」
そう言って繭の手を振り切ろうと
懸命に試みたものの、
見かけによらず繭ってば、
相当力が強いらしい。
繭は、必死こいて逃げ出そうとしてる私
を、滑稽な物でも見るかのように
冷ややかに見下ろした後で、怖いくらい
の微笑みを浮かべた。