【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
◆苦い記憶、断片。*秋side
―――こんな女は、初めてだ。
強情で、いつも俺に歯向かって―――純
粋で。
時々その純粋さが、俺を責めるように向
かってきて、苦しくなる。
汚れの知らないお前は、きっと本当は、
俺なんかに関わるべきじゃ無かった。
だけど、欲しかった―――……。
俺に媚びない女―――いや、人間を、俺
は心のどこかで探していたから。
お前は自分をいつも卑下するけど。
気付いてないのか。自分が可愛いという
事に。色んな男がお前に熱を上げている
事に。
―――お前は、可愛いよ。