【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
……あの女の事だ。緊張でガチガチに固
まる、なんて事はなさそうだけど。
「今日はやけに楽しそうだね、秋」
不意にそんな声が聞こえてきて、振り向
くとニコニコと笑ってる私服姿の男が居
た。
「……隼人……」
―――飯島 隼人(イイジマ ハヤト)。
ここらでも有名な企業の次男で、俺が唯
一認めた男だった。
こいつはいわゆる、天才だ。
この高校に通う必要も無いほど頭がいい
クセに、通ってるのは親の世間体からか
。
テストでいつも二位をキープしてるのは
。一位を取らないのは、親へのささやか
な反抗心だと前に言っていた。