【完】狼ご主人様と子羊ちゃん




「さあさあやって参りました!クイーン
とキングを決めるこの大会!今年は一体
誰が栄光を掴むのか!」



―――そんな司会の声と共に、会場がワ
ッと沸き上がる。



中等部の頃から変わらないこの行事。俺
は無論、ずっとグランプリを取っていた




―――『秋様』



ふと脳裏に甦ったその甘い声が耳にまと
わりついて、気持ち悪くなった。



今更出てくんじゃねぇ―――……。



だけど一度顔を覗かせたそれは、物凄い
スピードで俺を真っ黒に染め上げていく
。どろどろした何かが、俺の中を駆け巡
ったんだ。



「―――辻宮様?」






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