【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
こうして立っていられるなら、俺は。も
う前を向けているのだろうか。
そう信じたいのに、心のどこかでまだ、
それを拒絶する自分が居た。
美里をからかっているのはいつも、きっ
と深入りしないためだった。
誤って、恋心でも抱いてしまわぬように
、軽い気持ちで彼女と接してる。
もう女なんか信じない。
そんな風に思った時のあの感情を、忘れ
られるハズもない。
俺が初めて絶望し、自分の出で立ちに泣
きたくなり、初めて。
―――誰かを殺したいと呪った。