【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
ああ、あの―――セクハラ司会者。
思い出すと、先ほどの怒りが沸々と甦っ
てきて、舌打ちしたくなった。
本当に、いい迷惑なんだから。
「あんたこそ……。ステージの上で、あ
んな気だるそうに立ってて、随分余裕み
たいね」
嫌味のつもりで言ったのに、辻宮はそれ
を笑顔で返してきた。
「別に。俺が負けるわけねーし」
……うわぁ、ナルシスト。
思わず軽蔑するような目線を投げ掛ける
と、辻宮が私のほっぺたをつねってきた
。
容赦なく引っ張られて、声にならない悲
鳴をあげる。