【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
だから翻弄されてしまう。
逆らえなくなってしまう。
「だ、ダメです!」
「―――なんで?」
きょとんと首を傾げる辻宮を、唖然とし
て見つめる。
むしろキスしていいか、とか、恋人でも
なんでもないのに訊いてくる意味がわか
らない。
「そういうのは……好きな人とするもん
ですよ……!」
自分で言ってて、僅かに胸の奥が鈍く痛
んだことに私は気付かなくて。
ただただ、恥ずかしくて、顔から火が出
そうだった。
そんな私の反応を楽しむように、辻宮は
クスクスと笑う。
「お前、可愛い」