【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
だけど、それでも俺は縁に惹かれた。
止められなかった。
『秋、バーゲンセールって知ってる?』
彼女はいつしか俺を"秋"と呼び、俺も彼
女にそう呼ばれることが嬉しかった。
彼女から聞かされる話は、どれも新鮮な
ものだった。
成金だった縁は、小五まではそこらの庶
民と変わらない生活を送っていた。
だから、縁の知らないことを俺は知って
いたし
俺の知らないことを縁は、知っていた。
中3の春。
それがどれだけ卑怯で、俺が一番嫌がっ
てた親の権利を使うと知っていても。
俺は、縁のパートナーをリコールした。
リコールなんて名だけで、俺を前にして
、楯突こうなんて男は、居ない。