【完】狼ご主人様と子羊ちゃん




誰にも気づかれないようにひっそりと、
その小さな胸に黒々とした憎悪を溜め込
んで。



きっと俺がぼろぼろに壊れるその時を、
ただただ待っていたのだろう。



―――死ねばいいって思った。



いつだったか、俺は彼女にそう言われた
のを覚えている。



今でも……思い出すんだよ。



君の怖いくらいの美しさ。

痛いくらいの涙。

あの日の胸の痛みでさえ。



一年たった今でさえ、俺をとらえて離し
てはくれないんだ。



何度謝ったら許してくれるだろう。


もう―――許されることすら、おこがま
しいというのなら。



あの日の俺は、どうすれば良かったんだ
ろう。



―――三年生になると、縁の元パートナ
ーも高校へと進級していき、縁とパート
ナーの接点はほぼ消えていった。








< 190 / 431 >

この作品をシェア

pagetop