【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
誰にも気づかれないようにひっそりと、
その小さな胸に黒々とした憎悪を溜め込
んで。
きっと俺がぼろぼろに壊れるその時を、
ただただ待っていたのだろう。
―――死ねばいいって思った。
いつだったか、俺は彼女にそう言われた
のを覚えている。
今でも……思い出すんだよ。
君の怖いくらいの美しさ。
痛いくらいの涙。
あの日の胸の痛みでさえ。
一年たった今でさえ、俺をとらえて離し
てはくれないんだ。
何度謝ったら許してくれるだろう。
もう―――許されることすら、おこがま
しいというのなら。
あの日の俺は、どうすれば良かったんだ
ろう。
―――三年生になると、縁の元パートナ
ーも高校へと進級していき、縁とパート
ナーの接点はほぼ消えていった。