【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
相変わらず強情な性格。だからこそ俺は
、そんな美里に救われつつあるのかもし
れない。
初めてだったんだ。
自分の事をこんなに話すなんて、初めて
だったんだ。
驚くくらいにスルスルと、出てきた声は
震えていて、情けないけど、美里に助け
を求めていた。
誰かに慰めて欲しかったのかもな。
お前は悪くないって、いって欲しかった
のかもしれない。
───例えばそれが、逃げの選択だとし
たってかまわないから。
「美里……ありがとうな」
相変わらずため口は直らないし。
俺の事なんか、主人だって認識している
のかも不明だけど。
それでもいいんだ───だから。
俺からどうか……離れないでいて。
ただひとつ、そう願うんだよ。