【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
まさかそんな事言われるとは思っていなかったのだろう。
辻宮や周りのギャラリーまでもが、驚いたように私を見ていた。
でもそんなのは、気にならないくらい、私は怒っていた。
「そういうの、自己中っていうのよ!自分の事しか考えられない、ただのバカね。
いくら顔がよくったって、性格悪けりゃ、元も子もないわよ!」
「あ゛?俺はーー……」
と辻宮が口を開こうとしたとき、繭と瑠璃の「美里!!」とい叫び声が遮った。
「美里……手が!」
そう言われて、自分の手のひらを見れば、砕け散ったガラスと、血だらけの皮膚があった。