【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
縁さんに告げられる事実の全てが、鋭く
尖って私の胸を突き刺す。
もうやめてよ!、と思わず耳を塞ごうと
したその瞬間、縁さんを制したのは、低
い声だった。
縁さんは、ハッとしたようにそこに立っ
ていた彼を見上げた。
「陸人……?」
そこに立っていたのは、縁さんのパート
ナーであり、恋人でもある、常山くんだ
った。
縁さんを、無表情で見下ろす常山くん。
そんな彼に、縁さんは、泣きそうな表情
を浮かべた。
「なんでこんな女を庇うのよ!この女は
、私たちから幸せを奪った男の女なのよ
!」
きっと、辻宮の事だ。
「だからめちゃくちゃにしてやろうと思
ったのに、どうして陸人が止めるのよ!
もうちょっとだったのにっ!」
「喜ぶと、思ったか?」