【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
もうこれくらいじゃ驚かないんだから。
執事くらい、予想範囲よ。
「美里、行くぞ」
「ええ!」
「……なに張り切ってんだ、お前」
どんな世間離した事実を突きつけられて
も驚いてやるもんか!と気合いをいれて
そういうと、怪訝そうに見下ろされた。
そんな辻宮を無視して、見上げたのは。
「……うわぁ」
「お前、人の家目の前にしてうわぁとか
言うんじゃねー」
思わず感嘆とは程遠い声を漏らした私の
頭をガスッと後ろから殴る辻宮。
暴力反対ですよ、ご主人様。
「痛いんですけど」
「気のせいだ」
気のせいってそんなわけあるか!
しかしそう怒鳴る前に、すたすたと辻宮
が歩き出したので、私も慌ててそれを追
いかけた。