【完】狼ご主人様と子羊ちゃん




「忘れられるわけ、ないでしょ」



第一印象は、最悪だった。



「だって辻宮、ジュースこぼした店員さ
んにすごい怒鳴ってたのよ?大人げない
ったらありゃしない」


「……はは。俺に怒鳴る女なんて居なか
ったから、あの時はビビったなあ。それ
にお前、血だらけになっても気にしない
んだもん」


「血だらけって……」



ただ、手が切れただけじゃん。



「そういえば、あの時に言ってた、マニ
ュアルってなんなわけ?」


「ん?……ああ、あれね。教えてほしい
?」


「……まあ」


「じゃあ、キスして」


「……はあ!?」



いきなり!?意味わかんないし。



それにいつもは「キスしろ」って命令形
なのに、こんなときだけ甘えたようにい
うのは卑怯だ。





< 255 / 431 >

この作品をシェア

pagetop