【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
私を見つめる辻宮の瞳が、妙に潤んでい
て、どこか妖艶だから……囚われそうに
、なる。
嫌だと拒否するのさえも、許してくれな
いんじゃないかってくらいに───。
「……マニュアルっていうか、辻宮家の
掟、なんだけどな」
「へ?」
いきなり話が逸れたから、思わずすっと
んきょうな声を出してしまった。
な、なんだ、教えてくれるのか……。
「その中の一つに、上下関係を厳しく、
威厳を保つっていうのがあって……まあ
、付け入る隙を与えるなって意味だけど
。それを習得してる最中でさ、あの時は
」
「だからって……、やり方間違えてるよ
」
「だな。お前に言われて気付いたよ。こ
んなの嫌われるだけじゃん、って」
ありがとな、と言いながら辻宮が、私の
頭を撫でたから。
その手を振り払って、照れ隠しに、
「子供扱いしないで」