【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
◆キモチ、認めて。
気が付けば、自分の部屋のベッドの上だ
った。
あれからどう帰ってきたのかなんて、覚
えてない。
ただ、あの時の辻宮の真剣な表情が、ず
っと頭から、離れなくて───……。
多分ずっと放心状態だったんだと思う。
「……冗談でしょ……?」
くしゃり、と前髪をかき揚げて、はあ、
と息をつくも、とても冗談には思えなか
った。だから余計に厄介なんだ。
からかってます、って雰囲気があれば、
笑って誤魔化せたのに───それすら、
許されないような雰囲気で。
ふと、ベッドから降りようとしたら、枕
元のケータイがピカピカと点滅している
のに気付いた。
……メールだ……。
メールを確認すると、差出人が辻宮で、
ドキッと心臓が加速した。