【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
そこまで一気に捲し立てて、はっと口をつぐんだ。
辻宮の深い黒い瞳に、悲しそうな影がサッと走ったから。
触れてはいけない、訊いてはいけない、貶してはいけない。
そんな雰囲気がピリピリと彼を渦巻いていて、何も言えなくなってしまった。
「あ、あのーーー」
「気分悪い。帰る。包帯、度々変えとけよ」
辻宮は、そう言いながら、保健室を後にした。
お礼……言えなかったな。
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