【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
急に繭の声が真剣なものになったので、
なんとなくベッドの上に正座する。
『もし……辻宮様が、縁さんとヨリ戻し
たらどうする?』
───え……?
「そんなの、あり得ない……」
『もしって言ったでしょ。例えばの話だ
よ。……そしたら、どうする?』
どうする、って……。
胸が、ずきずきする。
考えただけで、今すぐ逃げたいような衝
動に駆られる。
『自分以外の女の子に、好きだって言っ
て、キスして……』
「やだっ!もうやめて!」
聞きたくない、とぎゅ、と目を瞑れば、
電話の向こう側から、クスッと笑い声が
聞こえてきた。
『───もう、わかったでしょ?』
……ずるい。