【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
◇疾走、伝えたくて。
いつから好き?とか。
なんで好き?──とか。
そんなのわかんない。ただ、理屈なしに
好き。
辻宮に他の誰かが触れるのも、触れられ
るのも我慢なんて出来ない。
私だけを見ていて欲しい、と思う。
こんな独占欲……初めてだ。
「───着きましたよ、お嬢様」
そう言って降ろされたのは、辻宮の家の
前。ここまで連れてきたのは、辻宮専属
執事の山本さんだった。
辻宮が好きだって気付いて、いてもたっ
てもいられずに朝イチで電話したのだけ
ど───……。
「朝の6時から押し掛けるとか……迷惑
ですよね……」
すみません、と山本さんに謝れば、山本
さんはニッコリと微笑んだ。