【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
その瞳は相変わらず意地悪そうに光って
いて真っ赤になっていく私を楽しむみた
いに。
「な、な……お、起きて……!?」
「うん。執事だと思って、休みの日くら
い寝かせろって怒鳴ろうとしたら、お前
だったからずっとフリーズしてた」
ふ、フリーズ……って。
とりあえずこの体勢から抜けようと思い
、動こうとした瞬間、ガシッと両手首を
押さえられた。
「ちょ……!」
「こんなに目覚めのいい朝は久しぶりだ
、俺」
「ちょ、はなしてよ!」
「──…なあ、もう一回言ってよ」
私の言い分なんてなにも聞かず、辻宮は
潤んだ瞳をこちらに向けた。
その瞬間、ゾクゾクした痺れが、背筋を
駆けていったから、それ以上辻宮を見て
られなくて目を逸らした。
「ね、言えよ、さっきの言葉」
「……聞こえてたんでしょ?」
「もう一回。……夢だったら、嫌だから
」