【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
どこか切なげなその声に、胸がズキッと
痛んだ。
夢なんかじゃない。私はここにいるのに
。ちゃんと、好きなのに……。
「いってくれたら、手首解放してあげる
」
「ずるい……!」
「なんとでも言えよ」
余裕そうに笑う辻宮を、ちょっと睨んで
から。
ふい、と視線を逸らし、小さく呟いた。
「……辻宮が……好き」
そう言った瞬間、私の唇を、辻宮のそれ
が塞いだ。
「んっ……!?」
びっくりしていると、辻宮が唇を離し、
やけに色っぽい声で、
「……口、開けろ」
って言ってきて、どうしたらいいのかわ
からなくて。