【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
ちょ、く、苦しい……ていうか痛い。
「もー!羨ましすぎる!あんな風に微笑
まれたら溶けちゃうよ……」
はあ、と両手を頬に添えてうっとりする
瑠璃。
溶けちゃう、っていうのはわかるかも。
ていうか、どぎまぎする。あんまり優し
く微笑んで、しかもずーっと見詰めてく
るからどうしたらいいのかわからなくな
るんだ。
まだどこか夢見心地な瑠璃に一方的に別
れを告げて、下駄箱に行くと、気だるそ
うに下駄箱に寄りかかる辻宮が居た。
「おっせーよ」
そう言いながらも、やっぱり私を見る瞳
が優しい。
「……ねえ、辻宮」
「ん、なに」
昇降口を出た所で、辻宮の隣に並び、辻
宮を見上げる。
「……なんでいつもと違うの?」