【完】狼ご主人様と子羊ちゃん




ちょ、く、苦しい……ていうか痛い。



「もー!羨ましすぎる!あんな風に微笑
まれたら溶けちゃうよ……」



はあ、と両手を頬に添えてうっとりする
瑠璃。



溶けちゃう、っていうのはわかるかも。



ていうか、どぎまぎする。あんまり優し
く微笑んで、しかもずーっと見詰めてく
るからどうしたらいいのかわからなくな
るんだ。



まだどこか夢見心地な瑠璃に一方的に別
れを告げて、下駄箱に行くと、気だるそ
うに下駄箱に寄りかかる辻宮が居た。



「おっせーよ」



そう言いながらも、やっぱり私を見る瞳
が優しい。



「……ねえ、辻宮」


「ん、なに」



昇降口を出た所で、辻宮の隣に並び、辻
宮を見上げる。



「……なんでいつもと違うの?」




< 291 / 431 >

この作品をシェア

pagetop