【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「違うって?」
「いつもは意地悪そうな目で見下してく
るくせに、最近やけに甘いから」
「甘い俺も良いだろ?」
「……胸焼けしそう」
嬉しいんだけど、歯痒い。
嬉しいんだけど、恥ずかしい。
ちょっと眉根を寄せた私を、辻宮は苦笑
いで見た。
「……胸焼けって、お前……他に言い方
なかったんかい」
「だって……」
「それともなに。意地悪してほしいの」
「いや、それは違うけど」
それ、ただのマゾじゃんか。
どこか納得いかない私を、しばらく見つ
めていた辻宮は、ふうといきをつくと、
ぐいっと私の肩を抱き寄せた。
「ちょ……!?」