【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
■嫉妬と独占欲■
◆彼女、愛しさ満ちて。*秋side
「頬が緩みすぎて溶けそうだよ、秋」
二月の中頃。
いきなり視界に入ってきた隼人が、呆れ
たようにそう言った。
「……は?緩んでないし」
その言葉にハッとして、ちょっと不機嫌
そうに隼人に答える。
ただ、多分無意識に緩んでたのは確かだ
ったから、後ろめたくて隼人の目は見れ
なかった。
そんな俺に、やれやれと言ったようにた
め息をつく隼人。
「……まさか秋が、一人の女の子にここ
まで入れ込むとはねぇ」
「……俺は元々一途だぞ」
「そういう意味じゃなくて。……秋はど
こか、俺と同じ感じがしてたんだけどな
あ……」
ふう、と残念そうに息を吐きながら俺を
見つめた隼人。