【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
その目線がどこか哀れむような感じなの
がムカつく。
「同じって?全然違うだろ」
だって俺は───ずっと、お前が羨まし
くて仕方なかったんだから。
ずっと、隼人みたいに自由になりたいっ
て───今も、思うのに。
訝しげな俺に、苦笑いを浮かべる隼人。
「……なんつーの?秋も俺とおんなじで
、どこか冷めてるっていうか、周りから
一歩引いた所で、世界を傍観してるって
いうか。
そういう所、俺と似てると思ったんだけ
どね。あと女をあんま信用してない所と
かね」
「───ああ……」
あながち間違ってはない。
けど……。
「それは、ついこの前までの俺だな」
確かに自分までをも客観的に観察してい
たし、それに女は信用出来なかった。