【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
そう言いながらチラリ、と教室のドアの
方に目を向けたので、その視線を辿ると
、おずおずと言ったように美里が立って
いた。
……珍しいこともあるんだな。
「ん。サンキュ」
男にそういうと、男は慌てたようにお辞
儀して去っていった。
改めて思うけど、皆俺にビビりすぎだろ
。同学年のくせに様付けって……。
別に普通でいいのにな。───でも。
これも親父の言う、威厳って奴のためな
んだと思ったら、そんな贅沢も言ってら
れなかった。
「……どうした」
教室のドアの所までいって、美里にそう
尋ねると、美里がポッと頬を赤く染めた
。
え、なにその反応。可愛すぎ。
ぐらり、揺れる理性。
今すぐキスしたいんだけど、怒るかな。
怒るよな、やっぱり。