【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
ぐ、と拳を握って、美里の後頭部を引き
寄せたい衝動を堪えていると、美里が小
さく口を開いた。
「あ、のね……。今日、放課後って用事
あるの?」
「ない」
ほんとはあるんだけど、大したことない
し、美里の為ならいくらでも空けるし。
キッパリとそう言うと、美里の顔がパア
ッと輝いた。
「じゃあ……!放課後、ちょっとここで
待ってて!」
「ん」
「んじゃ!」
スッキリしたような面持ちで、意気揚々
と去っていく美里。
はぁ……ほんと可愛い。
───そして、放課後。
「秋、帰らないの?」