【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
いつまでたっても動こうとしない俺に、
隼人が不思議そうにそう訊いた。
「んー。まあ……」
「ふーん。ま、いいけど。んじゃな」
「ん。じゃーな」
そう言って隼人と別れてから、暫く経っ
た所で。
「───ごめんっ!」
そう言いながら、教室に猛スピードで美
里が突っ込んできた。
……速ぇ。
「ごめん!待った?」
「ん、待った」
俺がそう言うと、不安げな表情を浮かべ
る美里。
それそれ。その顔見てると、どーしても
意地悪したくなるんだよな。
俺はあえて不機嫌そうな雰囲気を作りな
がら、そっぽを向いた。