【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「る……瑠璃が、……辻宮怒らせたら、
こうすればいいって言ってて……」
恥ずかしいのか、どんどん声が萎んでい
く美里。
ていうか俺も俺だ。こんなんで死ぬほど
嬉しい、なんて。
「美里───」
美里のその唇に、自分の唇を重ねようと
近付いた瞬間。
「あ、そうだった」
という美里の声で、ムードが呆気なくぶ
ち壊された。
「今日は辻宮に渡したい物があって」
「渡したい物?」
そう反芻すると、うん、と微笑む美里。
「今日はバレンタインでしょ?」
「……あぁ」
そういえば、そうかも。