【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「俺、すげー幸せなんだけど。美里が居
てくれて」
「……っ!」
ボッと真っ赤になる美里。そういう反応
も、可愛い。
「だから……どこにも行くなよ?」
そう言うと、美里は一瞬大きく目を見開
いてから、ふわりと微笑んだ。
「当たり前でしょ?」
そんな美里を、強く、ただ強く、抱き締
めたんだ。
「───おい、秋」
家に戻ると、珍しく親父が顔を出してき
た。
「なんですか」
「桐生グループの事だがな……」
はあ、またそれかよ。