【完】狼ご主人様と子羊ちゃん





「お見合いの件でしたら、お断りした筈
ですが」


「しかし、向こうも乗り気だし、悪い話
じゃないだろう。」



悪い話じゃないだろうって……。



「それは辻宮グループにとって、という
ことで、俺にはなんの利益もありません
。そちらの都合をこちらにまで押し付け
ないでください」


「だがお前は、高校卒業後、すぐにでも
継いでもらうつもりだ」


「会社は継ぎます。だけど結婚相手くら
いは選ばせてください。利益の為に感情
捨てられるほど、俺は大人じゃない。


そして俺は貴方の駒でもない」




俺には俺の意思があり、親父のいいよう
に操られる人形じゃないんだ。



「相手、いるのか」


「息子の恋沙汰に突っ込むほど、お暇で
もないでしょう。余計な詮索もやめて下
さいね」




俺はそれだけ言うと、自分の部屋に戻っ
た。






< 306 / 431 >

この作品をシェア

pagetop