【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
ちょっと不機嫌そうに低くなった声色。
「私を狙ってる……って…?」
「お前の事、イヤラシイ目で見てるやつ
がいんだよ」
……いや、絶対居ないでしょ。
「辻宮、そんなのあり得ない」
「いいから俺に抱き締められてろ。それ
とも、まだ口答えするんだったら俺が直
々にお前の口を塞いでやるけど?」
ニヤリ、と意地悪そうに口の端に笑みを
浮かべた辻宮に、嫌な予感しかしなかっ
たので、大人しく抱き締められてること
にした。
不意に、寒気を感じてそちらを見れば、
殺気だった目で、瑠璃がこっちを見てい
た。
……怖いって。
そんな瑠璃から目を逸らし、ため息を吐
く。
……先が思いやられるんですけど。
ちなみに、運の良いことに、瑠璃と繭も
同じクラスだった。