【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
頬杖をつきながら、どうでもよさそうに
答える辻宮。
や、実際どうでもいいんだろうな、多分
。
そして───。
「じゃあ、入りなさい」
そんな先生の言葉と共に開いたドアから
入ってきた男の子に、私は目を見開いた
。
「斗真……?」
思わずポロリと呟いた私を、不思議そう
に見てくる辻宮。
だけど私の視線は、教卓に立つその男の
子に釘付けだった。
「家の都合で東京に来た、紀藤斗真(き
とうとうま)です!よろしく」
この声と、あの笑顔、そしてその名前。
やっぱり───……。
女の子達が、ぽーっとしてるのがわかる
。