【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
珍しく真顔で即答してきた斗真。
「むしろ逆だから。柊、可愛かったし、
男子に結構人気だったよ?」
「あはは。お世辞でしょ?ていうかそん
なこといったら、斗真だって女の子にす
ごいモテてたじゃん。カッコいいから」
そんなことない、と斗真が照れ笑いした
時、チャイムがなった。
「……久しぶりに柊と話せて良かった。
これからよろしくな」
「うん」
そう言って斗真が席に戻っていくのを見
送って、ちらっと後ろを仰ぐ。
「……チャイム鳴ったんですけど」
もうすぐ先生来ちゃうんですけど、とい
う意味も込めて辻宮を見ると、辻宮はす
ごく冷めた瞳を私にぶつけた。
……え?睨まれてるの?私。
わけが分からず目をぱちくりさせると、
辻宮が低い声で───……。
「あとで覚えてろよ」
と囁いた。