【完】狼ご主人様と子羊ちゃん




そうして、何事も無かったかのように、
平然と自分の席に腰を降ろした辻宮。



そんな辻宮を見つめながら、私はずっと
固まっていた。



あとで覚えてろよ、って、何で?



あの声色と表情から、良いことではない
のは一目瞭然だった。だから怖い。辻宮
が本気の目だったから。



何か自分に落ち度があったんだろうか、
と考えてみても、まったく思いあたらな
くて。



その日1日、ずーっと頭を悩ませていた




───そして、放課後。



あれから、斗真に話しかけられることは
無かった。



私の予想通り、転校生という事もあって
か、彼の周りには沢山の人が集まってい
た。



その人だかりの中心で、笑いながら皆と
話している斗真に、昔の頃の風景を重ね
て、懐かしんでいた。





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