【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
まるで昔に戻ったかのような……。
「美里。帰るぞ」
「え、ちょ、……っ!」
ボーッとしていたら、手を引っ張られて
、からめられた指先。
それが恥ずかしくて、私は真っ赤になり
ながらうつむいてしまった。
……こういうの、慣れない。
時折、不意討ちのように見せてくる、辻
宮の甘さに、私は慣れないんだ。
照れ臭くて、恥ずかしくて……でも、心
地いいんだ。
「……辻宮?こっち、車じゃな───」
───ダンッ!
昇降口を出たら、門の方ではなく、校舎
裏まで私を連れてきた辻宮。
そんな辻宮にどうしたのかと訊こうとし
たら、私の背に壁を向けて、そんな私の
横に辻宮が両手をついた。